世界中のめっき屋をAIに30時間探させたら、とんでもないデータベースができた

2017年、めっき通信というサイトを作った。

当時やっていたことは、今考えると実に原始的だった。

Googleでめっき会社を検索する。

会社のホームページを開く。

何のめっきをやっているのか読む。

会社名や所在地、処理内容を記録する。

そして次の会社を探す。

全部、人間がやっていた。

その人間とは、もちろん私である。

今風に言えば「めっき企業データベース」を作っていたわけだが、そんな格好いいものではない。

ただひたすら検索して、読んで、記録する。とにかく、当時は暇だったw

2017年の吉本少年は、地道にそんなことをやっていた。

あれから9年。

2026年。

状況が変わった。

AIがいる。

だったら、9年前に人間がやっていた仕事を、今のAIにやらせたらどうなるんだろう?

そう思った。

「世界のめっき屋を探してくれ」

最初は、その程度だった。

せっかくなので日本はいらない。

日本のめっき会社については、いずれ別にきちんと調べればいい。

今回は海外。

しかも一部の国だけでは面白くない。

世界中を調べてみよう。

AIによる世界めっき企業調査が始まった。

アメリカ、ヨーロッパ、中国、東南アジア。

この辺までは普通である。

しかし調査はそのまま止まらなかった。

アフリカ、中東、中南米、太平洋の島々。

「こんな国にもめっき屋があるのか?」

というところまで調べ始めた。

途中から私自身、

「これ、いつ終わるんだ?」

と思い始めた。

結局、約30時間AIを動かしたところで一旦止めた。

世界中のめっき会社を完全に調べ終わるまで待っていたら、本当にいつ終わるか分からない。

そこで、ここまでを「第1次調査」としてまとめることにした。

結果:249国・地域を調査

集計してみて驚いた。

第1次調査の結果は、

調査した国・地域:249

原本に残った記録:約3,000件

その中から、公開用の確認済み加工企業として整理されたものが、

1,639件

企業が確認できた国・地域は、

125国・地域

になった。

しかも今回は、

日本国内企業を一社も含めていない。

世界のめっき・表面処理企業だけで1,639件である。

ただ会社名を集めただけではない

今回AIにやらせたのは、会社名とURLを集めるだけではない。

各企業について可能な範囲で、

  • 国・地域
  • 都市
  • 公式サイト
  • 電気めっき
  • 無電解めっき
  • 亜鉛めっき
  • 電気亜鉛めっき
  • 溶融亜鉛めっき
  • ニッケルめっき
  • クロムめっき
  • 硬質クロム
  • 銅めっき
  • 錫めっき
  • 貴金属めっき
  • アルマイト
  • 化成処理
  • その他表面処理
  • 得意分野
  • 情報源
  • 情報確認日

などを整理した。

さらに、同じ企業が複数回出てきた場合の重複確認や、加工会社なのか、設備会社なのか、薬品会社なのか、業界団体なのかといった分類も行った。

「見つかったから全部掲載」ではない。

確認できた加工企業と、候補段階の企業は分けている。

分からないものは、分からないままにした。

ここは結構重要だと思っている。

AIだからといって、分からない情報を想像で埋められては困る。

世界のめっき事情が少し見えてくる

データを集計すると、なかなか面白い。

今回確認できた加工企業は、

  • 欧州:848件
  • アジア:242件
  • 北米:191件
  • 中南米:159件
  • 中東:82件
  • オセアニア:62件
  • アフリカ:55件

となった。

もちろん、これは世界のめっき産業の市場規模を示す数字ではない。

今回の調査で確認できた企業数である。

調査の深さも国によって違う。

それでも、世界各地に表面処理業者が存在している様子を眺めるだけでも面白い。

処理別では、今回のデータ上、

亜鉛めっき892件。

ニッケルめっき624件。

クロムめっき474件。

アルマイト386件。

そして私の大好きな硬質クロムは241件。

世界には結構いる。

そしてボツワナ

今回の調査を始めた頃、

「ボツワナのめっき屋とか見てみたい」

などと冗談で言っていた。

調べた。

結果。

確認済み0件。

ただし、これは「ボツワナにめっき屋が存在しない」という意味ではない。

今回の調査では、公開できるレベルまで確認できなかったという意味である。

候補や過去の記録、計画などは別に管理している。

世界は広い。

そのうち見つかるかもしれない。

PLATING.EARTHを作った

せっかくここまで調べたので、CSVを眺めて終わるのはもったいない。

データベースサイトにした。

名前は、

PLATING.EARTH

世界のめっき屋を探すサイトである。

企業名だけでなく、

国、地域、都市、処理方法

などを組み合わせて検索できる。

たとえば、

「中東で硬質クロム」

「ヨーロッパで無電解めっき」

「ベトナムの表面処理会社」

といった探し方ができる。

現在の第1次公開版には、

125国・地域、1,639件

を収録している。

PLATING.EARTHはこちら。

https://plating.earth/

企業検索はこちら。

https://plating.earth/company-search/

2017年と2026年

今回、一番面白かったのはデータベースそのものより、2017年と2026年の違いだった。

2017年。

人間が検索する。

人間がホームページを読む。

人間が会社を分類する。

人間がExcelなどへ入力する。

2026年。

人間が言う。

「世界中のめっき屋を探してくれ」

AIが約30時間走る。

そして約3,000件の記録を持って帰ってくる。

それをAIが整理し、重複を確認し、データベース化し、WordPressへ登録し、検索システムまで作る。

9年間でここまで変わった。

だから昔のデータも面白い

今回やっていて、もう一つ気付いたことがある。

2017年に私が手作業で集めたデータは、古いから価値がないわけではない。

むしろ逆かもしれない。

2017年のデータ。

2026年のデータ。

そして2030年、2035年。

同じような調査を定期的に残していけば、

世界のめっき産業がどう変化したのか

を見ることができる。

会社が生まれる。

会社がなくなる。

処理内容が変わる。

工場が増える。

国によって産業構造も変わる。

未来のAIがどれだけ賢くなっても、記録されなかった過去を正確に取り戻すことはできない。

だから今回の調査結果も、2026年9月28日時点のスナップショットとして原本を保存した。

PLATING.EARTHは完成しない

このサイトには完成予定日がない。

世界中の企業を完全に調べるなんて、おそらく無理である。

会社は毎日変わる。

新しい会社もできる。

なくなる会社もある。

ホームページも変わる。

だからPLATING.EARTHは、

完成させるデータベースではなく、観測を続けるデータベース

にしたいと思っている。

今後はAIによる巡回で変更候補や新しい企業を探し、人間が確認した上でデータベースを更新していく予定である。

日本企業についても、いずれ別途調査したい。

2035年

2017年から2026年まで9年。

では、さらに9年後の2035年はどうなっているんだろう。

今の私には分からない。

ただ、AIがもっと賢くなっていることだけは間違いなさそうだ。

その頃になったら、PLATING.EARTHでは足りなくなっているかもしれない。

次は、

PLATING.GALAXY

でも作って、天の川銀河のめっき屋を探しているかもしれない。

その時はまたAIに言おう。

「日本はいらん。銀河中くまなく探してくれ。」

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