CAD特化型ベンチマークテストを作った ― あなたのPC、CADにどこまで耐えられる?

自分の仕事を楽にしようと、AIと一緒にCADを作っていました。
実案件の図面を開いたら、重かった。
性能を測って原因を調べていたら、今度はベンチマークソフトができました。

……CADを作っていたはずなんですがw

というわけで、専門通信工業の実験・開発シリーズ。「CAD特化型ベンチマークテスト」Desktop Ver.0.2をβ公開します。英語名は CAD Performance Benchmark Test。愛称は「CADベ」です。

DXF解析、描画、選択、編集など、2D CADに近い処理を固定条件で実行し、このPCでどれくらい速く処理できるかを実測するWindowsアプリです。

Windows x64 / Portable / 無料 / インストール不要
Node.js不要。ダウンロード後、通常利用時のネット接続も不要です。測定結果を外部サーバーへ自動送信しません。

Desktop Ver.0.2(β版)・ZIP 約151 MiB(158,224,614 bytes)。
現在のβ版はコード署名されていないため、Windows SmartScreen等から警告が表示される場合があります。

CADベ Ver.0.2の実測記録を履歴から表示。総合スコア、8カテゴリースコア、吉本耐性PASS、CPU・RAM・GPU等が見える。
Ver.0.2で保存した実測記録を、履歴から開いた実画面です。数値は一例で、実行時の負荷や環境でも変わります。画像を押すと拡大できます。

始まりは、自分の仕事で使うCADだった

最初からベンチマークを作ろうとしていたわけではありません。前の記事で紹介した自作2D CAD / DXF CADを、AIと一緒に育てていました。

DXFを開いて表示する。オブジェクトを選択して編集する。コピーする。別の図面へコピー&ペーストする。保存する。間違えたらUndo、戻しすぎたらRedo。
実際の仕事で「これも欲しい」と言っているうちに、機能が増えていきました。

実案件の大きなDXFを開いたら、重かった

小さな図面では快適だったのに、実際の設備図面を開くと動きが重い。そこで「なんとなく重い」で終わらせず、AIを使ってCAD内部の処理時間を測りました。

調べた大規模図面は、約20 MiB、DXFエンティティ約37,000、描画対象約103,000図形、約323万頂点という規模でした。元のDXF要素数と、展開後に描く図形数は別です。円や曲線を描くための点まで数えると、なかなかの量になります。

実測すると、不要な全体再描画、大量の円・円弧の描画、DXF読み込み時の重複処理など、重くなる場所が具体的に見えてきました。なお、この配布物に実案件・顧客のDXFは含めていません。テスト用図形は固定条件で生成します。

それなら、CADをPCに合わせればいいのでは?

性能改善を進めていて、ふと思いました。

市販CADはいろいろなPCで動くように作られている。
でも自作CADなら、自分のPCの得意・不得意に合わせて調整できるのでは?

CPU、メモリ、GPU、ストレージの構成を確認し、そのPCで何万図形を描けるのか、曲線はどの程度速いのか、Zoom / Panは追従するのか、大量の選択・編集に耐えられるのかを実測する。その結果をCAD側が使えたら面白そうです。

だったら、先にCAD処理に特化したベンチマークを作ろう。
ゲームや映像処理の指標だけでは見えにくい、2D CADで気になる処理を直接測る。こうしてCADベが生まれました。

何を測る? 標準テストは58条件

PC同士を比較しやすくするため、「CADベ Standard 2D」として図形数・配置・Canvas条件・Zoom / Panの順序・反復回数などを固定しています。測定条件そのものも結果JSONに保存します。

  • DXF解析と大量LINE描画
  • CIRCLE / ARC / SPLINEなどの曲線処理
  • Zoom / Pan
  • 単体・複数・窓・交差選択
  • MOVE / COPY / DELETE / UNDO / REDO
  • ストレージの読み書き
  • 連続編集ストレステスト「吉本テスト」

全58条件の測定後に、スコアを計算します。CPUやGPU単体の理論性能を示すものではなく、このアプリのCAD処理を実行した結果です。GPUの型番等は表示しますが、GPUだけの性能スコアではありません。

CAD Benchmark SCORE:基準PCと同等なら10,000

基本は基準PCの処理時間 ÷ 測定したPCの処理時間 × 10,000。CPUやGPUの型番だけを見て加点する方式ではありません。

  • 同じ処理時間なら、10,000
  • 半分の時間なら、20,000
  • 2倍の時間なら、5,000

これは各測定条件の基本的な考え方です。8カテゴリーのスコアと総合点は幾何平均でまとめます。生の実測値も残し、画面から確認できます。

スコアとCAD Benchmark CLASS(S / A / B / C / D)は、まだ暫定です。いろいろなPCの実測結果を集めながら、今後の方式を検討します。市販CADの快適性や動作を保証するものではありません。必要な測定が未完了だったり、データ整合性に問題があったりする場合、総合スコアは出しません。

吉本テスト。速くても、データが壊れたら失格

名前はふざけていますが、確認していることは真面目です。

自作CADを操作していて、前の処理が終わる前に選択・削除・コピー・Undoなどを次々に行ったところ、エラーが出たことがありました。操作する側は、つい次を押してしまうんですよね。

CAD「ただいま削除処理中です」
吉本「次これ消す」
CAD「ちょっ……」
吉本「これも」
CAD「待っ……」
吉本「これもいらん」
CAD「💀」

その経験から、DELETE / COPY / PASTE / MOVE / UNDO / REDOなどを高速に連続実行するテストを用意しました。

測るのは速度だけではありません。終了後のエンティティ数、座標を含む図形データ、Undo / Redoの状態、エラー数を期待値と照合します。速くても最終データが一致しなければFAIL。「吉本耐性」は、連続操作後も正しい状態を保てたかを見る項目です。

PC情報と履歴は、手元で確認

取得できる範囲でCPU、コア/スレッド数、RAM、GPU、ストレージ、Windows環境を表示します。取得できない情報は推測で埋めません。

「HISTORY / RANKING」では過去の結果を開いたり、JSONを取り込んで別PCの結果と比較したりできます。順位は同じ測定条件・計算方式のグループ内だけ。同じPCの互換記録があれば前回比も表示します。

HISTORY / RANKINGの実画面。保存日時、SCORE、CLASS、吉本耐性と、JSONを取り込むボタン。
ローカル履歴の表示例です。オンラインランキングではありません。

使い方:展開して、測定ボタンを押す

  1. このページのボタンからZIPをダウンロードします。
  2. ZIPをフォルダーごと展開します。
  3. フォルダー内の CADBenchmarkTest_v0.2.exe を実行します。
  4. PCの表示名を入力し、「標準テストを開始」を押します。
  5. 約1〜数分待ち、CAD Benchmark SCOREと吉本耐性を確認します。

測定時間はPC性能と実行環境で変わります。測定中はほかの重い処理を控えてください。「中止」ボタンでも止められます。EXEだけを取り出さず、DLLなどを含むフォルダー一式で利用してください。

結果はJSONとHTMLで保存できます。通常の保存先はWindowsユーザーデータ内の %APPDATA%\CADベ\results、履歴は %APPDATA%\CADベ\history-v0.2 です。Portableはインストール不要という意味で、結果までUSB等に保存される方式ではありません。

無料・オフライン。測定結果を勝手に集めません

個人・法人を問わず無料です。会社のPCなど、商用環境での性能測定にも使えます。ユーザー登録は不要。ダウンロード後の通常利用はローカル/オフラインで行えます。

測定結果を専門通信工業その他の外部サーバーへ自動送信する機能はありません。結果は利用者のPC内に保存します。オンラインランキングやクラウド同期も、現在はありません。

ライセンス・利用条件

以下は配布ZIPの最新READMEと同じ利用条件です。

CAD特化型ベンチマークテストは、個人・法人を問わず無料で利用できます。商用環境でのPC性能測定にも利用できます。
測定結果およびスコアは自由に公開・共有できます。
本ソフトウェア本体および改変版の無断転載、再配布、販売を禁止します。個人または法人内でのバックアップ目的の複製は除きます。本ソフトウェアは無保証で提供されます。測定結果は実際のCADソフトウェアの動作・性能を保証するものではありません。
ベンチマーク処理および結果保存はローカルで行われ、測定結果を外部サーバーへ自動送信しません。
Copyright © 2026 専門通信工業. All Rights Reserved.
Electron、Chromiumその他の第三者コンポーネントについては、配布物に付属する各ライセンス文書が適用されます。

いろいろなPCで試してもらいたい

今は、CAD向けベンチマークというアイデアを実際のPCで試してもらうためのβ公開です。異なるCPU、GPU、メモリ構成の実測結果が集まれば、評価方法をもっと実用的にできるはずです。

測定結果やスコアは自由に公開・共有していただけます。今後、結果共有方法も用意する予定です。現在、自動収集は行っていません。ご自身で結果を公開する際は、PCの表示名や結果に含まれる環境情報をご確認ください。

目指しているのは、PCに合わせて動くCAD

将来は、CADベで測定 → CADが結果を読み込む → Worker数、描画LOD(細かさ)、キャッシュ、GPU利用等を調整 → そのPCに合わせたCAD、という仕組みを検討しています。

これは未実装の将来構想です。現時点でCADを自動設定する機能はありません。

出発点は「自分のCADが重かった」。そこから、PCに合わせてCADを調整するための第一歩を作ってみました。
あなたのPCは、CAD処理にどこまで耐えられるでしょうか。よかったら試してみてください。吉本より落ち着いて操作できる方も、もちろん歓迎ですw

Windows x64 / Desktop Ver.0.2 β / 無料 / Portable ZIP

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