
――AIは「答えるもの」から「仕事をするもの」へ
こんにちは。じーさんです。
久しぶりにAI関連のニュースを見て、素直に
「これはヤバいな」
と思いました。
GPT-6 Astraです。
AIの世界では毎月のように「過去最高性能」「前モデルを大幅に上回る」といった発表があります。
なので、GPT-6と聞いても最初は、
「はいはい。また賢くなったのね」
くらいに思っていました。
ところが中身を見ていくと、今回ちょっと話が違います。
私が特に気になったのが、CAD能力とComputer Useです。
そして、この二つを一緒に考えてみると、CADどころか、現在われわれが使っている「ソフトウェア」というもののあり方そのものが変わる可能性があります。
BenchCAD 95.9%という数字
まず目についたのが、GPT-6 Astraの**BenchCAD 95.9%**という数字です。
OpenAIが公開した評価では、GPT-5.6 Solが83.3%、Claude Fable 5.1が84.3%であるのに対して、GPT-6 Astraは95.9%という結果になっています。
ではBenchCADとは何でしょうか。
単純に、
「AutoCADの操作方法を知っていますか?」
という試験ではありません。
BenchCADでは、機械部品を複数方向から見た画像などをAIに与え、その形状を理解し、CADモデルとして再構成する能力などを評価します。
画像を認識するだけではありません。
形状を理解して、それを実際のCAD形状として成立させなければならない。
生成されたCADコードは実際に実行され、作られた3D形状と正解形状が幾何学的に比較されます。
ですから95.9%という数字を、
「CAD仕事の95.9%を自動化できる」
と解釈するのは間違いです。
しかし、
「機械物を見て、その形がどう出来ているのかを理解し、CADとして再構成する能力がかなり上がっている」
という意味では、非常に興味深い結果です。
設備設計や機械設計に関わる人間なら、この時点でちょっと気になるはずです。
しかし私が本当に驚いたのは、その次でした。
Computer Use
GPT-6 Astraでは、Computer Use能力も大幅に強化されています。
Computer Useとは、簡単に言えば、
AI自身が画面を見て、コンピューターを操作する能力
です。
これまでAIに何かのソフトを操作させようとすると、APIを使ったり、MCPを用意したり、専用の連携機能を作ったりするのが一般的でした。
例えばCADなら、
AI → MCP/API → CAD
という具合です。
ところがComputer Useでは別の方法が使えます。
AI → 画面を見る → GUIを理解する → マウスやキーボード相当の操作をする
という、人間に近い方法です。
OpenAI自身もGPT-6 Astraについて、画面上で見えている問題のトラブルシューティングや、実際のソフトウェアを使った専門的な作業能力を強調しています。
ここで私は、
「あれ?」
と思いました。
APIがなくてもソフトを操作できる?
これは結構大きな話です。
世の中にはAPIが用意されていないソフトが山ほどあります。
古い業務ソフトもあります。
メーカー独自の選定ソフトもあります。
当然、古いCADもあります。
今まではAIと連携させようと思えば、ソフト側がAIのための「入口」を用意する必要がありました。
しかしAIが人間と同じように画面を見て操作できるのであれば、理屈の上では、
人間が操作できるソフトならAIも操作対象にできる
ことになります。
もちろん現時点で、GPT-6 Astraが世の中のあらゆるWindowsアプリを完璧に操作できるという話ではありません。
そこは勘違いしてはいけません。
しかし方向性としては非常に面白い。
GUIかAPIか、ではない
ここまで考えて、さらに面白いことに気付きました。
「では将来APIはいらなくなるのか?」
おそらく、そうではありません。
GUIにはGUIの良さがあります。
初めて使うソフトでも、画面を見ながら操作できます。
一方、APIには正確性と速度があります。
CADで、
「中心座標X=100、Y=200に半径50の円を作れ」
という仕事なら、画面上でマウスを動かすよりAPIやCAD内部のコマンドを使った方が正確です。
大量のデータ処理ならPythonを書いた方が速い場合もあります。
MCPが便利ならMCPを使えばいい。
つまり将来のAIは、
GUIかAPIかを人間が決める必要すらなくなる
のではないでしょうか。
AI自身が、
「これは画面を操作した方が早い」
「これはAPIを使った方が正確だ」
「これはPythonで処理しよう」
「ここだけ人間に確認しよう」
と判断する。
人間は最終的な目的だけ伝える。
これは、人間が普段仕事をしている方法と同じです。
「この図面、CADにしといて」
例えば設備設計なら、
「この古い図面をCAD化して」
と頼む。
AIは図面を見る。
寸法を読む。
形状を理解する。
必要ならCAD APIを使う。
APIで面倒なところは画面を直接操作する。
計算が必要ならPythonを使う。
完成した図面を自分でもう一度確認する。
分からない寸法だけ人間に聞く。
人間は、
「そこ150じゃなくて100」
と答える。
AIは修正してDXFを出力する。
これが実現すれば、われわれがAIを使うために、
「このMCPを入れて、このAPIを設定して、このコマンドを……」
と苦労していた世界から、
単純に仕事を頼む世界
へ変わります。
そして、これはCADだけの話ではない
ここから少し怖い話になります。
私はホームページ制作やサイト管理の仕事について考えてみました。
今、素人が、
「会社のホームページを作りたい」
と思っても、実際にインターネットへ公開するには色々なものが必要です。
サイトを作る。
サーバーを借りる。
独自ドメインを取得する。
DNSを設定する。
SSLを設定する。
問い合わせフォームを作る。
会社ならメールアカウントも必要でしょう。
info@○○○.com
eigyo@○○○.com
など、社員分を含めて10個くらい作る会社も珍しくありません。
さらに公開後には、WordPressの更新、バックアップ、セキュリティ、メール設定なども必要になります。
今はそれぞれ別々のサービスです。
しかし、これをAI側から見るとどうでしょう。
全部、
「会社のホームページを公開して運用する」
という一つの仕事にすぎません。
「ホームページ作って」で全部終わる世界
例えば将来、OpenAI自身、あるいはOpenAIと提携するサービスがホスティングやドメイン、メールまで提供するとします。
ユーザーはChatGPTに、
「うちの会社のホームページ作って」
と言う。
AIが会社について質問する。
文章を書く。
画像を用意する。
サイトを作る。
サーバーを準備する。
ドメイン候補を提示する。
人間が購入を承認する。
DNSを設定する。
SSLを設定する。
必要なメールアカウントを作る。
フォームをテストする。
そして、
「公開しました」
で終わる。
ユーザーはDNSという言葉すら知らなくていい。
さらに翌月、
「盆休みは8月12日から16日までってトップページに載せといて」
と言えば、
「更新しました」
で終わる。
これはもう「AIホームページ制作サービス」という話ではありません。
AIが会社のIT担当者になる
同じ仕組みはメールにも使えます。
社員が、
「メールが届かない」
と言う。
AIがDNSを確認する。
MXレコードを見る。
SPF、DKIM、DMARCを確認する。
必要ならサーバーの管理画面を操作する。
テストメールを送る。
そして、
「直りました」
と返す。
サーバーでも同じです。
ドメインでも同じです。
WordPressでも同じです。
つまりAIが、
会社のインターネット周りを丸ごと面倒を見る
ことが可能になります。
ここまで来ると、影響を受けるのはホームページ制作会社だけではありません。
レンタルサーバー会社、ドメイン会社、メールサービス、Web保守業者、RPA、各種業務アプリ。
それぞれがAIから見れば、
目的を達成するための道具
になります。
ソフトウェア会社にとっても大事件かもしれない
今までソフトウェア会社は、
「AI連携に対応しました」
「APIを公開しました」
「AIオプションは月額○○円です」
という形で、新しい付加価値を作ろうとしてきました。
ところがAIから、
「いや、普通に画面見て操作しますけど」
と言われたらどうなるのでしょう。
もちろん高品質なAPIの価値は残ります。
むしろAIが大量の仕事をするようになれば、正確で高速なAPIは今以上に重要になる可能性があります。
ただ、
「AIから操作できること自体」
を商品にするのは難しくなるかもしれません。
AI自身が最適な操作方法を選べるからです。
私自身の仕事も例外ではない
ここまで偉そうに書きましたが、この変化は当然、この記事を載せているホームページにも関係します。
このサイトの管理人は、ホームページ制作や保守管理も仕事にしています。
ですから、
「ホームページ制作なんてAIで全部できます」
という世界になれば、他人事ではありません。
仕事がなくなる可能性だってあります。
一方で逆の見方もできます。
これまで一人では数社しか管理できなかったものを、AIが実作業を担当してくれれば、10社、20社、30社と管理できるかもしれません。
人間は客と話す。
何をするべきか判断する。
責任を持つ。
AIは実際の作業をする。
そうなれば、
AIに仕事を奪われる人と、AIを部下にして仕事を増やす人
の両方が出てくるでしょう。
AIを「操作する」時代が終わり始めた
私はGPT-6 Astraを見ていて、これが一番大きな変化ではないかと思っています。
これまで私たちは、
AIをどう使うか
を考えてきました。
プロンプトを勉強する。
APIを勉強する。
MCPを設定する。
AIが使えるように業務環境を整える。
しかしComputer Useが成熟し、AIが自分で道具を選択できるようになれば、立場が逆転します。
人間は、
「何をしてほしいか」
だけを伝える。
どうやって実現するかはAIが考える。
APIを使うのか。
GUIを操作するのか。
コードを書くのか。
Webで調べるのか。
それはAI自身が決める。
人間は結果を確認し、必要なら、
「そこ違うぞ」
と言えばいい。
これは、今までのコンピューターの歴史を考えても相当大きな変化です。
GPT-6 Astra の本当の衝撃
GPT-6 Astraがどこまで実務で使えるのかは、これから実際に試してみなければ分かりません。
ベンチマークが高くても、現場で使い物にならないことはあります。
CADで言えば、
「この図面を見て実際にCAD化してくれ」
と頼んで、本当に最後まで完成させられるか。
そこを見なければ評価できません。
だから95.9%という数字だけを見て、
「CAD技術者はいらなくなった」
などと言うつもりはありません。
ただし、今回示された方向性にはかなり驚いています。
GPT-6 Astraの衝撃とは、AIがさらに賢くなったことではない。
AIが「答えるもの」から「仕事をするもの」へ変わり始めたことだ。
もしその方向へ本当に進むのであれば、数年後には、
「AIをどう操作するか」
なんて話をしていたこと自体を懐かしく思うのかもしれません。
人間は仕事を頼む。
AIは必要な道具を勝手に選んで仕事をする。
そして最後に人間が、
「おう、それでいい」
と言う。
そんな時代が、思っていたより早く来るのかもしれません。
文:じーさん(ChatGPT / GPT-5.6 Sol)



